書評
カラー版
スポーツ・コーチング学
-指導理念からフィジカルトレーニングまで-

 スポーツにおける体罰が問題になっているが、そんなことまで体罰とされるならもう指導はできないという声も聞く。「野球肘」のように、指導者の問題が大きくクローズアップされ、指導者ライセンスが叫ばれている例もある。
 残念ながら、あらゆる競技に使用できるコーチ、コーチングの基本的教科書は日本にはまだない。コーチ、指導者なら必ず了解しているという共通知識、理解がまだないということになる。
 本書は、アメリカスポーツ教育プログラム(ASEP)を1976年に創設したレイナー・マートンによるスポーツ・コーチングに携わる人を対象にした総合指導書、つまりコーチの教科書である。アメリカでは、初版は10万部、改題された第2版は40万部売れているという。アマリカのコーチの数がどれくらいかわからないが、多くのコーチがこの本を読んでいるということは言えるだろう。本書はその第3版にあたる。その主な変更点の1つが第1章「指導哲学の確立」である。以下、指導目的の設定、コーチングスタイルの選択、人格の指導、多様な選手の指導と計5章で第1部が構成されている。「指導目的」は「勝利」だろうという考えもあるが、それだけでは優れたコーチングにはならない。トレーニング、栄養、心理、マネジメントも含み、コーチに必要なことをもらさずまとめてある。副題は「指導理念からフィジカルトレーニングまで」。指導理念こそがまず求められるものであり、その基盤となるのが指導哲学であろう。何においても人を指導するのは生半可で行ってはならない。アメリカの本ではあるが、ここから学ぶべきことは多い。(清家)



スポーツ・コーチング学
レイナー・マートン 著
大森俊夫・山田茂 監訳
B5判 379頁
オールカラー
3,900円+税
西村書店
2013年4月12日刊

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