書評
肩こりの臨床
関連各科からのアプローチ

  「肩こり」は腰痛同様、いわば国民病のようなものかもしれない。「肩がこる」という表現は実際に肩こりでなくても「肩がこる話」とか、反対に「肩のこらない店」などと、心理的な側面を示すときにも使われる。
 序文で編集者の森本氏は「平成22年の国民生活基礎調査によれば、肩こりは女性が訴える症状の第1位、男性では第2位である」としつつも、「一方で、肩こりを自覚している人にうち、医療機関での治療を受けている人は20.1%にとどまるとするデータがある」と記している。
 もちろん、「肩こり」は疾患名ではなく、症状を記すもの。「現在でも他の疾患に付随する症状として扱われることが多い」という。なぜか。それは「肩こり」の明確な定義がないこと、診断に当たって主観により判断されている部分が多いこと、病因も正確には分析されていないことなどが考えられるそうだ。
 この本は、「肩こりを単に症状として扱うのではなく、基礎疾患の検索を含めて正確な診断を行うこと、より適切な治療法を選択することの必要性を考えてのこと」である。
 したがって、整形外科はもちろん、神経内科、ペインクリニックはもとより、理学療法、眼科、放射線学、鍼灸、リウマ、婦人科などの専門家、約50名がその専門の立場から「肩こり」について記している(ちなみに、理学療法分野では、竹井仁先生が、治療法の章で、リハビリテーションの項目を担当)。
 全体は、肩こりの「一般的事項」「病因と病態」「評価法」「診断法」「治療法」「関連事項」の7部からなる。肩こりについて、臨床的に対応することの多い人には必携の本と言える。



肩こりの臨床
森本昌宏 編集
B5判 264頁
7,600円+税
克誠堂出版
2013年5月20日刊

amazon.co.jp で購入する